S.R.I(ShiroSano Research Institute)

佐野史郎さんを愛し、佐野さん出演作を研究する研究所

我が人生最悪の時(1994)

我が人生最悪の時

作品データ

公開日:1994年3月5日
製作総指揮:嵯峨芳春
企画:福寿祁久雄
製作:後藤由多加
プロデューサー:古賀俊輔 林海象 余為彦
脚本:林海象 天願大介
監督:林海象
撮影:長田勇市
美術:増本知尋
美術監修:木村威夫
照明:長田達也
音楽:めいなCo.
助監督:行定勲 
製作:フォーライフレコード 映像探偵社
配給:ヘラルド ヘラルド・エース

出演:永瀬正敏 南原清隆 佐野史郎 塚本晋也 宍戸錠 南果歩 楊海平 侯徳健 大嶺美香 修健 梶原善 阿南健治 近藤芳正 宮地雅子 麿赤児 千石規子 鰐淵晴子

作品のあらすじ

横浜・黄金町にある映画館“横浜日劇”の2階に事務所を構える私立探偵・濱マイク永瀬正敏)。ある日、雀荘で友人たちと遊んでいたマイクは、客とトラブルになった店員・楊(楊海平)を助け怪我をする。後日、楊は治療費をマイクに渡すが、マイクは受け取らない。楊はその治療費を探偵の仕事料として受け取ってほしいと言い出し、マイクに台湾から日本にやってきたという楊の兄を探す依頼をする。マイクは、タクシー運転手の旧友・星野(南原清隆)とともに調査を開始。調査を進めた結果、背景にアジア系外国人で構成されている黒狗会と台湾マフィアの抗争があり、楊の兄(侯徳健)はその組員の一人であることがわかる。また楊自身も秘密を持っていて…

映画の見どころ(独断と偏見)

林海象監督による、私立探偵・濱マイク永瀬正敏)の活躍を描いたシリーズ第1作。
全編モノクロ映像で、横浜を舞台に繰り広げられる無国籍アクション。古き良き日活のアクション映画の要素を盛り込んでいて、映画好きを「ニヤリ」とさせる画作り。

濱マイク】はテレビドラマシリーズをやっていたこともあり、”横浜を舞台とした探偵もの”くらいの知識はあったのだが、あまり詳しいことは知らなかった…工藤は、2023年1月7日に開催された【林海象監督復活祭】にて、初めて鑑賞。上映後に佐野さんと林監督のトークショー付き。豪華だった…。

観た感想としては、ストーリーの展開がシンプルだなと。

楊の「依頼」は真実に迫れば迫るほど危険な事情が分かってくる。だが濱は逃げない。師匠(宍戸錠)に止められても逃げない。ちょっと若くて勢いで行動するきらいがあるが、「探偵が依頼を受けたのだから、完了するまではやりぬく」と男らしく筋をとおし立ち向かっていく。みなが【濱マイク】にハマる理由がここにあるのかなと思う。

上映後のトークショーで林監督は「原点回帰」という主旨のことを語っていた。原点とは佐野さんが主演した【夢みるように眠りたい】を指す。探偵もの・モノクロ・依頼にそってストーリーが展開する…たしかに【夢みる~】と構造は一緒。舞台設定・人物設定が林監督独特で、観るものを虜にする。

【夢みる~】と違うところがあるとすれば、バイオレンスが色濃い点。アクションシーンも迫力満点で豊富。スクリーンで観るべき映画だと感じた。

また、トークショーで林監督は「この映画、誰も幸せにならないで終わる」なんておっしゃっていた。登場人物それぞれの【我が人生最悪の時】をなぞっていく、痛くて切なくて悲しい物語だからだろう。でも工藤はこの映画を見ながら”ピリオドを打ってあげる優しさや、ピリオドを打つことで幸せになることもあるんじゃないか”と思った。

楊が濱にお金を渡したいがためにでっち上げた「嘘の依頼」は、自分では止められない運命を断ち切り、濱に救ってほしいという「魂からの依頼」ではなかったか。

結果、濱は物理的に楊を救えなかったが、最期まで楊の魂を優しく包んであげたと思う。普通の男同士で出会っていれば、きっと「ともだち」として笑いあえたはずの二人。

心がすり減っていても、誰かを信じてみたい。
そんなラストがたまらない。

林監督の常連、佐野さんは神野というヤクザの親分。眼鏡なし!
怖い親分…と思いつつ、スクリーンいっぱいに映し出された佐野さんの顔をみてにやけてしまうわたし。左の口元から頬・耳の下にかけて傷跡があるのだが、「その傷どうやってついたの?」という傷。それが気になって気になって(観る場所が他人と違いすぎる)

佐野さんが演じる悪役で、ヤクザのようなストレートな悪役は珍しいんじゃないかと思うので、ぜひ一度ご覧いただきたい!

 

佐野史郎さんの役どころデータ

役名:神野
職業:親分
女性関係:特に描写なし


おまけ:ブログに書いたトークショーでのお写真