S.R.I(ShiroSano Research Institute)

佐野史郎さんを愛し、佐野さん出演作を研究する研究所

世にも奇妙な物語 七夕の特別編【恐竜はどこへ行ったのか?】(1994)

世にも奇妙な物語 七夕の特別編
【恐竜はどこへ行ったのか?】

放送データ

放送日:1994年7月7日 木曜22時30分(野球中継で繰り下げ放送)
制作:共同テレビジョン フジテレビ
プロデューサー:岩田祐二 塩沢浩二 小椋久雄
企画:石原隆
脚本:中村樹基
演出:星護
音楽:蓜島邦明
出演:松下由樹 佐野史郎 村松克己 長江英和 信太昌之 牧口元美 清水 綋治

作品のあらすじ

自らの身体を傷つけ欲求を満たすという精神病・自虐症を研究テーマにする大学院生の水谷裕美(松下由樹)は、地下3階隔離室で自虐症の患者が拘束されていることを知り、研究室の神崎教授(清水綋治)の反対を押し切り患者との面会を望んだ。その患者とは、大脳生理学の専門家だった田口修教授(佐野史郎)。なぜ自傷するのかを問いかけたその時、「やつらが来る!」と怯え、叫んだやいなや、拘束されているはずの田口の胸元にひとりでに大きなひっかき傷がつき、鮮血が噴き出た。目の前で起きたことを隔離室の看守(長江英和)や神崎教授に説明するが理解されない。

水谷は、田口のこと調べようと、田口の論文などを読み再度面会に挑む。田口は相変わらず正常ではない様子だが、自身の論文についてははっきりと覚えており、「お前の頭の中には爬虫類の脳がある」と、爬虫類の脳とよばれ最も本能的な天変地異を予感する力がある「R領域」について講義し、喋りつくして眠りについてしまった。

その後も、水谷は田口の身辺を調べ続けていたが、生物学者の証言により田口が「恐竜はどこへ行ったのか」というタイトルで「絶滅したとされる恐竜が別の次元で生きている」という驚くべき学説を展開していたこと、またかつて田口の助手だったものからは「ディノペプチン」という薬をつくっていたとの証言を得る。田口の脳を調べた結果「R領域」が以上に肥大していることがわかり、水谷は「ディノペプチン」のことを田口に問い詰めるが、田口はひどく興奮をして錯乱をし、面会禁止になってしまった。

水谷は湧き上がる興味を抑えられない。ついに立ち入り禁止となっていた田口教授の研究室に侵入し一本のビデオテープを見つける。そこには田口教授が映っており「絶滅したとされる恐竜が別の次元で生きている」ことを裏付けるために調合された薬を試す姿が記録されていた。水谷はその世界を観てみたいと思い、自らその薬を試そうとするが…

「怪物と戦う者は、その過程で自ら怪物となることを心せよ。深淵をのぞき込むとき深淵もまたこちらを見つめている」

ドラマの見どころ(独断と偏見)

しつこいようだが、この研究室(ブログ)の開設時に投稿した記事のとおり、私が佐野史郎さんを認識し大好きになったのは1993年から。この作品は麻利夫後となるわけであるが、冬彦→麻利夫とノリにのってる佐野さんを【世にも奇妙な物語】が見逃すはずがない(笑)。わかりやすいキャスティングだ。

怖い話が嫌いなわたくし工藤。【世にも奇妙な物語】かぁ…と思いながらも佐野さんのためならば!とこの特番リアルタイムで拝見。幸か不幸か、この【七夕の特別編】の3本はさほどホラー寄りではなく、どの話もとてもいい出来だった。

下心丸出しの井ノ原快彦をコワイおねーさん永作博美が追い詰める「罰ゲーム」
柳葉敏郎が綺麗なおねーさん水野真紀と不思議な恋をする「時の女神」
そして佐野史郎松下由樹を完全に喰ってた(笑)「恐竜はどこへ行ったのか?」

いずれもすごく心に残っている。
キャラクターが魅力的だと印象に残るものだ。オムニバスでもね。

さて、佐野さんのみどころ…

冬彦→麻利夫とノリにのってた佐野さんが
「おれ、この流れでいま”そういうのを”求められてるんだな?」
という感じでサービスしつつ暴れまわっている姿じゃなかろうか。

※想像の域は出ないが、やはりこの時期現場では
 冬彦・麻利夫みたいな奇抜な芝居を求められていたんじゃないかと思う…


おそらく【羊たちの沈黙】のレクター博士のオマージュなんだろう。隔離室という牢の中で拘束姿の佐野さんがたまらない(おい)。最初から誇張した演技で飛ばしていく佐野さんを観て、ビギナーであれば「はいはいいつもの感じね」と思うのだろうが、騙されてはいけない。この「狂い」の演技にはちゃんと意図がある。にくい。地下3階に隔離室なんてある施設が本当に日本にあるのかいな?みたいなことが頭をよぎるが、そういうのはとりあえず横に置いておいて(笑)計算された演出・芝居に痺れてほしい。


ちなみに「恐竜はどこへ行ったのか?」については結構お好きな人が多いのか、単独でWikipediaのページがあって驚く。ソフト化されていないようで残念。あらすじがほぼネタバレになっていてすみません。ただ、衝撃的なラスト数分はぜひ観ていただきたいな。観ていただければきっと一番夜遅い時間帯にこの作品を持ってきた理由がわかるのだ。鮮血万歳!

佐野史郎さんの役どころデータ

役名:田口修(たぐちおさむ)
職業:大学教授・大脳生理学の専門家
女性関係:描写なし

おまけ1:研究室に清水綋治さんがいるだけで何となく怪しい。ニコニコしていてもとても悪い人に見えてくるのは何故だろう(笑)佐野さんが大好きな実相寺昭雄監督の常連。工藤的には「超新星フラッシュマン」の大博士リー・ケフレンと金田一映画&ドラマ、「悪魔のKISS」の柘植茉莉子(常盤貴子の父親役が印象深い。本当は優しいお父さん役とかもっとやってほしい。けども悪い人とか変な人のイメージが濃いんだろうな…個性派はつらいよ。佐野さんとは「悪徳の栄え」などで共演している。

 

おまけ2:隔離室の看守を演じている長江英和さんも【世にも~】の常連。長江さんは勝新太郎さんが設立した勝アカデミーの卒業生なんですって。工藤的には東映特撮作品にちょこちょこ出てる人として認識があり、「ちゅうかないぱねま」のタクラマカンのイメージが強い。出演作品では【世にも~】の「HELL CAB~地獄のタクシー」や「都市伝説セピア(アイスマン)」「必殺仕事人2007」「最高のオバハン中島ハルコ2(第8話)」などにも出ている。