S.R.I(ShiroSano Research Institute)

佐野史郎さんを愛し、佐野さん出演作を研究する研究所

死霊の罠2 ヒデキ(1992)

死霊の罠2 ヒデキ

データ

公開日:1992年7月11日
配給:ジャパンホームビデオ
製作:升水惟雄、斉藤佳雄
企画:石井渉、藤家和正
監督:橋本以蔵
脚本:橋本以蔵  小中千昭
プロデューサー:伊藤直克 藤田光男
音楽:阿部正也
撮影:藤石修
出演:  中島唱子 近藤理枝 佐野史郎 角替和枝 ルビー・モレノ 新井康弘 
田口浩正 きたろう 池波志乃 大島蓉子 平泉成

作品のあらすじ

映画館で、映写技師として働く亜紀(中島唱子)は、昔、男に騙された心の傷を持っており、他人とのかかわりを極端に断っている。孤独に、かつ寡黙に淡々と映写の仕事をしていた。ある日、唯一の友人でリポーターをしている絵美(近藤理枝)に夕食に誘われる。二人きりの夕食と思いきや、絵美の知人であるという倉橋(佐野史郎)という男が同席。倉橋は、亜紀に興味を持つそぶりで亜紀との距離を異常な雰囲気で詰めてくる。時を同じくして、街では若い女性が性器をえぐり取って殺されるという、常軌を逸した事件が連続して起きていた…その凶悪な事件現場に絵美がレポートするVTRを見た亜紀は、現場にしゃがみこんだ姿の少年を観て驚く。その少年は亜紀の勤める映画館で見かける、「存在しない少年」だった…

映画の見どころ(独断と偏見)

この作品は…「死霊の罠2」とタイトルにあるとおり「死霊の罠」という映画の姉妹編…という扱いなのですが、つながりは全くと言っていいほどありません。

ホラーマニアの間で「死霊の罠」の話題が出るときには、1988年に公開された、ジャパニーズスプラッターホラー映画として名高い、小野みゆきさん主演、池田敏春監督の「死霊の罠」のことをさします。

※池田監督と小野みゆきさんが好きなので、興味本位で観ましたがとてもじゃないけど一人でじっとしてみていられない怖さでした…

うっかりと
死霊の罠?あ~知ってる知ってる、佐野さんが出てるやつでしょ」
と言ってしまうと、「え?そっち?」って顔をされると思われます(笑)

…ではなぜ「2」なのかいうことについて、工藤がざっくりと知っていることを記しておきたいと思います。

当時アダルトビデオで名を挙げていた「ジャパンホームビデオ」が、一般作品の制作・販売レーベルとして「JHV」を立ち上げ、様々な作品を発表していくなかで「オリジナル長編ホラー」の企画を「ディレクター・カンパニー(通称ディレカン)」に持ち込んだところ、日活退社後ディレカンに携わっていた池田敏春監督の手によって「死霊の罠」という1本の映画として完成。

死霊の罠」は当初ビデオソフトでリリースする予定だったようですが、映画館上映に格上げされ、映画としての興行成績は良くなかったものの、もともと予定していたビデオの売り上げは好調で、「日本にも本格的なゴアスプラッタが降臨した!」とその筋のマニアに受け入れられたとか。

死霊の罠」のヒットに、ホラー2作目を作ろう!と盛り上がったが、創りたい作品の方向性が異なり、いったん「ジャパンホームビデオ」と「ディレカン」での2作目製作はお流れに…

そして、間にいろいろあったものの「2作目やっぱり撮影しようぜ!」と、橋本以蔵監督を迎え、脚本にJホラーブームの立役者として知られる小中千昭さんが加わり、作ったのがこの「死霊の罠2 ヒデキ」というわけなのでした。

※間にいろいろあった…の内容としてはとあるオリジナルビデオの件も触れる必要があると思うのですが、それはまた別の機会に。

さて、前置きが長くなりましたが、ここから見どころです!(笑)


ホラーが苦手な工藤…ソフトを家に並べることすら何となく怖く配信で鑑賞…

恐らくですが、「死霊の罠」の続編か?と思って観た場合肩透かしとなるわけですが、そもそも「死霊の罠」のような「ひりひりするような緊張感」や「観ているだけで痛い物理的な嫌悪」を期待してた人にはつかみどころのない映画と感じると思われます。

観た結果、わたしはホラーというよりは「バトルもの」といった印象を受けました。

映画の開始直後…孤独で根暗な亜紀が描かれ、悲劇のヒロインのようにみえる…が実はそうではなく昼と夜で違う顔を持ちかなり異常な行動に出てしまう病める女とわかる。

そんな亜紀と対照的に明るくて社交的な絵美だが、彼女もまた表と裏で違う顔を持ち刹那的な快楽に身を投じているが、短絡的な快楽に染まらない亜紀に実は嫉妬している。

憧れ・嫉妬・自己顕示欲・魅力・失望…
ふたりの女たちはそれぞれ心にモンスターを飼っているのである。
それがやがて身体を支配し、解き放たれた時、どうなってしまったのか…

女のマウントバトルをご覧あれ。

この映画の佐野さんどころは倉橋というちょっと妖しい男。

妻子持ちなのですが、どうやら子供が行方知れずで妻が情緒不安定らしく、家庭には不穏を通り越して邪悪な空気が流れています…この空気感がなかなか怖いです。グロシーンよりも来るものがあります。また、倉橋は感情をあまり出さず、軽くて何考えてるかよくわからない淡々とした雰囲気の男。「誰かに動かされている」という感じで自らの意思が感じられない。こういう人やらせると佐野さん怖いです(うまいです)。

倉橋は絵美といけない浮気をしており、絵美に昼間っから呼出され、ハンバーガーを食べながら絡み合うという、すごいラブシーンがあります。そういうシーンがあるっていう事前情報がなかったので初鑑賞の際びっくりました(笑)。佐野さんの演じたラブシーンの中でもかなり特殊なシーンです。また事後のバスローブ姿が色っぽいのでぜひご覧ください!(ホラー映画の見どころとしてオススメポイントが間違ってると思いますがあえて言います!)

また倉橋は亜紀とのラブシーンやキスシーンもあります。絵美は亜紀が男に対して心を開かないのを知っていて、わざと倉橋を亜紀に近づけ好意を持たせ、抱かせて、全部私が仕組んだことだよ!って種明かしするんです。悪意のあるいたずらです。そんな絵美のいたずら(いやがらせ)を倉橋は遂行すべく亜紀にぐいぐい迫っていくんですが…スーツ姿に黒縁メガネの佐野さんですよ…私だったら即陥落ですね(おい)。

亜紀に倉橋が口紅をぐりぐり塗るシーンがあるのですが…これもまたグッとくるものがありますね。この演出『誰にも言えない』と被るところもあり…もしかして取り入れた?元ネタがある?ちょっと気になっています。

そして、倉橋といえば最後の「アレ」をぜひ見てもらいたい。
ネタバレするとつまらないと思うので鑑賞して確認してもらいたいのですが
「アレ」の瞬間

「眼鏡かけてるんだ」

と思ったのは工藤だけですか…ぜひ鑑賞してみなさまのご感想きかせてください。

…何だか見どころというよりは、工藤の性的な好みを暴露しているだけかなぁ…今回。

佐野史郎さんの役どころデータ

役名:倉橋
職業:サラリーマン…なんですかね?
女性関係:絵美(近藤理枝)と不倫関係にある。妻(角替和枝)と子供がいる。

おまけ
倉橋の家で流れているビデオが、JHVで出していた「ほえろブンブン」だったりします。

また、倉橋の息子の部屋にあるおもちゃがプラレールゾイドなどTOMYのおもちゃで「なんだ結構いいおもちゃ買ってもらってるじゃん」とか思ってしまったのは内緒だ。